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2010年 04月 18日
聖金曜日Karfreitag は、朝と午後の礼拝で歌った。朝の1曲はシュッツ。やっぱりシュッツは良い。午後歌ったK教会は今回が最後。今年カントルが定年退職したら聖歌隊は解散の憂き目にあうから。最後だと思うとしんみりした気持ちになった。
ちなみに今日は合唱の集中練習だった。終わってからUちゃんと久しぶりにゆっくり話していたら「シュッツはシビレる」で意見が一致したのでびっくり。シュッツが好きな人なんて会ったことないからなぁ・・・。 聖金曜日の夜はジョン・ノイマイヤーの名作バレエ『マタイ受難曲』を鑑賞。かつての聖歌隊仲間とばったり会った。戻っておいでよとしつこく誘ったけど、他のことに興味が移ったそう。去年と同じく始まる直前にノイマイヤーが一番前の右端に座るところを目撃した。草野洋介さんがいなかったのでがっかりだった。バレエ団のサイトで見たら、彼の名前がなくなっていたので、辞めてしまったよう。悲しい。 翌日はJ.S.バッハの『ヨハネ受難曲』を聴いた。去年マタイ受難曲を歌ってから、突如としてヨハネの素晴しさに目覚めたので、今年は絶対に聴きたいと思っていたら、コペンハーゲンの教会Holmens Kirkeで聴けた。17世紀からの歴史をもつ古い教会。 合唱はこのひとたち。親切な団員の人が前のほうに席を見つけ出してくれたので、ソロ歌手まで2メートルほどの至近距離に座れて、彼らが歌う姿を穴があくくらいじっくり見られた。特に気に入ったのはイエスを歌った大柄な人。長めのひげを生やしていて、イエスみたいだった。ピラトは頼りなく見えたけど、歌い始めたら別人のような貫禄。 指揮は骨と皮だけのような女性。ワンピース姿だったのが印象的。指揮棒なしに見えたんだけど、鉛筆のような短い物体を持っていた。あれも指揮棒なのだろうか?目指すものが明確で突進するけど、暴走はしないといった感じ。練習はかなり厳しそう。 バスのアリア"Eilt ihr eingefochtnen Seelen"で、合唱がところどころで"wohin"を数小節ずつ繰り返す部分がいかに難しいかは、歌ったことがある人ならわかってくれるはず。この演奏では"wohin"は各パート5人くらいの先鋭部隊のみが歌っていたので、賢い方法だなあと感心した。指揮者は"wohin" の前にソプラノの並び方を変更するほどの念の入れよう。すごい。 ソプラノの先鋭部隊のひとりはモデルみたいに美しかった。しかも99%暗譜して、全身全霊をかけて歌っているのがひしひしと伝わってくるので、ついついモデルさんに目が釘付け状態だった。たまに他の人も観察しようと思って男声陣に目を向けると、楽譜に顔を埋めて指揮を見てない人が多くて、どこでも男性は頼りにならないんだなぁと情けなくなった。 不思議だったのが、最前列ど真ん中にいたソプラノの若い女の子ふたり。特に右側の子はろくに口も開けずにずっと楽譜ばかり見ていた。先鋭部隊とあまりにも差があるのが不思議でたまらなくて、終わってからもいろいろ考えた私の推理だと、あの合唱団にはスポンサーがいて、スポンサー氏が「うちの娘がどうしても歌いたいっていうから・・」と裏口入団させて一番前に立たせたんじゃないかということ。指揮者はというと、やっぱり資金なしには自分の夢は実現できないから、泣く泣く悪魔に魂を売ったのではないか? 裏口組のナゾを除けば、指揮者がきめ細やかに指導したことがはっきりわかる見事な演奏で、これまでに聴いたヨハネでは一番感動した。最後のあの美しいコラールの後半はソロ歌手も一緒に歌っていた。あぁ、私もまた歌いたい・・・。教会から出たら、普段着に着替えたイエスやピラトが自転車で帰路に着くのを目撃した。コペンハーゲンは自転車人口が多くて、車道と歩道の間にある自転車道は2メートルくらい確保されていて素晴らしい。 先週はラトル指揮ベルリンフィルの演奏でJ.S.バッハの『マタイ受難曲』を聴いた。今シーズンのプログラムが発表されて以来ずっと楽しみにしていて、チケット取れるかドキドキしてたけど執念で入手した。途中無理かぁ・・と諦めそうになったけど「諦めるな!」と自分を鼓舞して電話し続けて本当に良かった。 早めに着いたにもかかわらず自分の席を発見できず(アホか?)、開演ギリギリにホール職員に裏道を誘導してもらっていたら、少年合唱の子たちが待機中。着席してしばらくすると合唱の人々が舞台前方にうつむいたりポーズを取りながら立ち始めたので、「何ごとか?」と戸惑っているうちに、唐突に演奏が始まった。ラトルが舞台に現れたのすら気づいていなかったのだ。 教会ではなくコンサートホールでマタイを聴くのは初めてだったので、少しばかり抵抗があったんだけど、始まった途端にそんな心配は吹っ飛んでマタイの世界にどっぷり引き込まれた。少年たちは客席に散らばって歌い、合唱、ソロ歌手たちは、舞台の上を動き回るという演出付き。あっけにとられていたら、ラトル氏もオケ1とオケ2とを行ったり来たりしながら大忙し。 女声ソロのふたりは裸足で舞台の上を動き回る。ソプラノの人はいつ生まれてもおかしくないような妊婦さんでびっくり。最初はあれも演出で、座布団丸めてお腹に巻き付けてるんじゃないかと勘ぐったんだけど本物の妊婦さんだった模様。メゾのMagdalena Koženáは顔と名前は知っていたけど、声を聴くのは初めて。想像より深みと芯のある声だった。 第一部の最後のコラールの演出に驚いた。少年合唱も加わって、合唱の人々が客席に散らばったのだ。私の近くには男声が何人か立っていたので声が良く聞こえた。イエスはずっと客席で歌っていたし、脇役の人たちも客席に突如として現れて歌ったり、アリアではフルート(パユさま!)やオーボエなどの伴奏者が、舞台前方や後方へと移動して、ソロ歌手に寄り添うようにして演奏していた。これは見事な演出だと思った。 特に忘れられないのは、第20曲のテノールのアリアとオーボエソロ(アルブレヒト・マイヤーさん)、第42曲のトーマス・クワストフと樫本大信さんという最強のコンビ!教会だと伴奏者は立ち上がって演奏はするけど、指揮者の近くにいる歌手とは距離的に離れている。この演出では歌手と伴奏者が寄り添うことにより、バッハの深い愛情が視覚的により迫ってきた。 地震が起きる前のコラール第62曲はアカペラだった。記憶する限り、このコラールをアカペラで聴いたことはなかったのでラトルのオリジナルかと不思議に思った。帰宅して礒山雅著『マタイ受難曲』を見てたら「メンデルスゾーンの蘇演の際には、全曲中このコラールのみがア・カペラ(器楽重複なし)で歌われ、静謐な効果を出したと言われる。・・・・・今日ではめったに採用されない。」と書かれていた。突然アカペラになったので私にとってはものすごく衝撃的だった。最後はまた舞台前方に合唱やソロ歌手が集まり舞台が暗くなって終わった。 カーテンコールで異彩を放って現れたナイジェル・ケネディみたいな人が演出した人だった。翌日ベルリンフィルのサイトで彼のインタビューを聞いたら、あの360度に広がるホールを使って何かしたいと思ったと語っていた。あのホールでしか実現できない臨場感あふれる演出は、プログラムに書いてあった彼の言葉「マタイ受難曲の演奏において聴衆はいない、全員が参加者なのだ」(私の意訳)を体現していた。 翌日の演奏はDigital Concert Hallで生中継だったので自宅にて鑑賞。始まる前からドキドキ。普段は電子ピアノの上に置いてあるJ.S. バッハの肖像画をモニター脇に移動させて、ろうそくもともしてちょっと演出(アホか?)。迷ったあげく正座して鑑賞した。途中足が痛くなると、体育座りもしたけど・・。 中継だと演奏する人々の表情がはっきり見えて迫力があった。前日は座っている場所のせいで、存在感の薄かったイエス(Christian Gerhaher クリスティアン・ゲルハーエル)の素晴らしさをひたすら感じた。抑制があって、すべてを悟り切ったイエスになりきっていて、すっかり惚れた。去年自分でマタイを歌ったときは、自分のことで手一杯で練習中も本番中もソロはろくに聴いていなかったので、今回はじっくりとアリアを堪能させてもらった。 これまではマタイを聴くと、まるで自分で十字架を背負ったかのように重い足取りで家路に着くのが常だったんだけど、今回はぜんぜん違って、J.S. バッハの、そして演奏した人々の深い愛情で満たされた気持ちに。こんなこと初めて。自宅ではクワストフが歌う第64曲、第65曲から最後まで、涙が止まらず嗚咽を上げてしまった・・。思いっきり泣いたけど、全身慈愛に包まれているのを感じたし、今でも思い出しただけで限りない強い愛で心がはち切れそうになる。 やっぱりJ.S. バッハを尊敬しています。道ばたで彼の亡霊に会ったら、サインもらいたいな・・・、マタイの楽譜に。 Berliner Philharmoniker Sir Simon Rattle Dirigent Camilla Tilling Sopran Magdalena Kožená Mezzosopran Topi Lehtipuu Tenor (Arien) Mark Padmore Tenor (Evangelist) Thomas Quasthoff Bariton (Arien) Christian Gerhaher Bariton (Christus) Rundfunkchor Berlin Simon Halsey Einstudierung Knaben des Staats- und Domchors Berlin Kai-Uwe Jirka Einstudierung Peter Sellars Ritualisierung Johann Sebastian Bach Matthäus-Passion BWV 244
by rbhh
| 2010-04-18 05:14
| 音楽
|
Comments(9)
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toramutti at 2010-04-19 03:43
来年は受難の季節、仕事しようと思います。猪之助がJPデビューだったのに聴けませんでした、残念。受難をとっても楽しんだようです。
大教会kantorのStefan、2010年、バッハのオルガン曲全曲(ほんとうに全部)を教会で演奏するということで、せっせと弾いています。私もちょっとお手伝いしてます。
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rbhh at 2010-04-19 06:26
虎ママさんへ。
おかえりなさい!JP残念でしたね。 できることならオルガン聴きに行きたいです。小川さんの全曲楽しみですね。(小川さんが定着していて、なんか笑ってしまいます。。。) 私は来年はシュッツのマタイを歌えそうで、今から楽しみにしています。
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at 2010-04-19 21:46
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Nora
at 2010-05-23 15:36
x
こんにちは。
今年も、すばらしい演奏をたくさん聴かれたようですね。 わたしも、刺激を受けて、久しぶりにマタイを聴いてみました。(CDですけど) いろいろコメントしたいんだけど、がまんして一つだけ。 ヨハネ受難曲のコンサートで、「鉛筆のような短い物体」で指揮していた、というところを読んで、びっくり。 わたしが、ヘンゲルブロックの次に好きなピエルロさんも、いつもボールペンみたいなもので指揮してるのです。 先日、東京のLFJで実演を見ましたが、やはりどう見ても、ボールペンでした。いったいなんなんでしょ。 PS、 新しいガーディナーの記事、興味深かったので、リンクさせていただきました。夜明けの駅の写真、いいですね。
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rbhh at 2010-05-26 12:07
鍵さまへ。
すみません、コメントに気づいていませんでした。 時間さえ合えば地の果てまででも行くつもりですので、考えてみますね。練習は大変でしょうが、歓びのほうが大きいでしょうね!
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rbhh at 2010-05-26 12:23
Noraさんへ。
マタイについて思う存分語り合えたら幸せでしょうね!本文に書くのを忘れていましたが、ベルリンのマタイでは第一部の最後の大コラールは、子供たちも再登場で合唱は会場じゅうに散らばって歌っていて壮観でしたよ! ボールペンでの指揮ってあるのでしょうか?!ボールペンあるいは鉛筆のナゾはいつの日か是非とも解いてみたいです。 ヘンゲルブロック氏のことでショックを受けたばかりです。勘違いしていた自分がいけないのですが、当地へいらっしゃるのは来シーズンからではなかったのですね。。。その次のシーズンから就任だそうでがっかりです。記事を書く元気はなかったのですが、2月末に演奏を聴いて大大ファンになったところだったのです。
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rbhh at 2010-05-26 12:27
Noraさんへ。
すみません、ガーディーナーのロ短調ですが、各パートひとりで歌うのはKyrieの一部のみでした。それ以外は各パート5、6人くらいによる合唱全員でした。「Kyrieのみ」と書くのを忘れていたばかりに誤解を生んだようで深く反省しています。ごめんなさい。
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Nora
at 2010-05-27 12:18
x
いえいえ。
完全にこちらの早とちりで、ごめいわくをおかけしました。本文もなおしておきましたのでご心配なさらないでください。 ヘンゲルブロック氏に関しては、大大ファンになってくださったようで、とてもうれしいです。 日本にはあまり情報が伝わってこなくて、演奏なども、はたして以前の「向かうところ敵無し」の水準を保っているのかどうか、ちょっと心配な点もありますが、どうかあたたかい目で見守ってやってください。 そちらに行くのは、「2011年シーズン」から、ということのようですね。 同じ年にはバイロイトにまで登場するようなので、楽しみに待ちたいと思います。
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rbhh at 2010-05-29 12:45
Noraさんへ。
そうおっしゃっていただけると少しばかり心が軽くなります。が、猛反省の気持ちに変わりはありません。ごめんなさい! ヘンゲルブロック氏すごかったですよ。たまたま知り合い2人も聴いていたのですが、終わった後3人そろって圧倒されてしまい、しばらく会場から立ち去れないくらい感動に浸って呆然としてました。背が高いですね。びっくりしました。指揮台なしでした。あの気さくな雰囲気がめちゃくちゃ良くて・・・。早く1年が過ぎ去ってほしいものです。
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