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2006年 02月 06日
先日デュッセルドルフでマチスの世界に浸った後は、ドイツ鉄道の鈍行で30分ほどで行けるルール地方の町エッセンに寄った。めざすはフォルクヴァンク美術館。
19世紀および20世紀の作品を集めた美術館としては、ドイツでも有数の歴史ある美術館(だそうだ)。この美術館の基礎となっているのは、1906年創立のエッセン美術館と個人収集家カール・エルンスト・オストハウスの1901年創立の個人美術館フォルクヴァンク。オストハウスの死後、彼の収集品はエッセン市に買い上げられ、1922年にふたつの美術館が合併した。 住宅街の一角にあって、庶民的な雰囲気であか抜けない、そこがなんとも愛らしい美術館でした。入り口がわからず、それらしき方向に向かったら「ここは入り口ではありません。」と張り紙がしてある。それならどこが入り口かも教えてよ〜と呪いの言葉を吐きそうになったけど、でもここはドイツ。サービスはなくて当然だから腹も立たない。この美術館のサイトもドイツ語のみというサービスのなさ…。 平日のせいか館内はガラガラ。私を含めても片手で数えられる程度しか客はおらず、見張りのおばさま連中(全員近所の50代以降のおばちゃんって感じ)も働き甲斐がない。皆さん館内のあちこちでおしゃべりに花を咲かせていた。 ここには大好きなC.D. フリードリヒの作品があって、それを見るのが長年の夢だったのでまず彼の作品を探した。・・・といっても館内は小さいので、探さずともすぐに見つかった。想像してたよりかなり小さいのが意外だった。展示されている部屋はブラインドが下がっているものの半開き状態なので、ブラインドの隙間から西日が差し込んで、フリードリヒの作品が縞々になってたのが悲しかった。次回行くときは西日の照っていない時間帯か、曇りの日を選んだほうが無難だな…。 写真部門では、エッセン在住のチェコ人女性写真家Jitka Hanzlová(カタカナ表記は不明)の『FOREST』と題した展覧会開催中。1958年生まれの彼女は、1982年にドイツに来てエッセンで写真を学んだそうだ。森をテーマとした45点が展示されていたのだが、本当に素晴らしい作品ばかり!こちらでいくつかご覧いただけます。 ひとつひとつの作品にひそむ気配に感じ入っていると作品の前からぜんぜん動けなくなってしまう。いったいどうすればあの、言葉ではとても表現することができない「気配」をとらえることができるんだろう…。私が大富豪だったら全作品を即買い上げたいくらい気に入った。 美術館から駅へ戻る途中に、平山先生に教えていただいたアアルトのオペラハウスに寄った。その日じゅうに帰宅しくてはならなかったので、今回オペラは我慢。外観を見てから、中の様子は窓に張り付いて見ただけ。 ***** 帰りの列車まで時間があったので、町の中をぶらぶらしていたら、好みのタイプの映画をやってるいい雰囲気の映画館を発見。いつかあそこで映画を観てみたい。そうだ、とっても不思議なことがあったのだ。朝からずっと、その日は老舗のカフェ(ドイツ語でKonditoreiと呼ばれるケーキ屋がカフェもやってるようなとこ)でお茶を飲むような気がしていた。なんとなくそんな予感みたいなものが、朝からぼんやりと頭の中にあったのだ。 映画館を見つけてからしばらく歩いていたら、遠目にも老舗にしか見えないカフェが突然視界に入って来た。一瞬驚きそうになったけど、やっぱりこうなるようになってたんだなぁ〜という、この偶然(?)をごく自然に受け入れる気持ちのほうが強く、もちろん迷わずに入った。まさに私好みの古めかしい素敵なカフェだった。 本当に不思議だ。イメージを描くとその通りになるのか、それとも起こりうることが事前にイメージとして頭の中に現れるのか、いったいどっちなんだろう?でも「老舗のカフェに行きたい!」という能動的な願いはなかったので、意識してイメージを描いたわけではない。といいうことは後者か? 私の場合、こういう出来事はごくたまにしか起きない。例えば、頭の中に突然洋服や靴のあるイメージが現れる。あの店に行けばあるかな…という本能のようなものに従って店に行くと、なぜか私のサイズだけがポツンと残ってたってことが何回かある。物が私を呼んでるってことなのか?でもそんなことってあるのか?! ・・・なんてことを考えながら家路に着いたのでした。 おまけ:フォルクヴァンク美術館では2006年5月5日から8月20日までフリードリヒ展が開催される。油絵だけでも80点も集まるそうだ。もちろん行くつもり。
by rbhh
| 2006-02-06 00:49
| 美術
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Comments(27)
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hirayama-susumu at 2006-02-06 01:12
Operhaus Essen の掲載を始めたら真っ先にお知らせしなくては・・・と思ってました。間もなくです。本当はホワイエで収録したバス歌手の響きをVIDEO でお聞かせできれば良いのですが。Operhaus ESSEN で一年がかりのアアルトに終止符を打つことになり、その後は北欧の建築の紹介をコツコツと続けることになりそうです。
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hirayama-susumu at 2006-02-06 01:16
追伸:窓に張り付く気持良〜くわかります、手なぞかざしてね。つぎはカメラのレンズをピタッとガラスに押しつけて、ともかく写真を撮っておく、なんて何回やったことでしょう・・・・
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nyf1403 at 2006-02-07 22:26
C.D.フリードリヒ、私も観に行きたいです。何年も前ですが、スイスのWinterthur(綴りは怪しい)で、観ました。
音大がEssen-WerdenにあるFolkwang Hochschuleでした。懐かしいです。
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rbhh at 2006-02-08 07:20
>平山先生、残念ながらエッセンでオペラは聴けなかったのが残念でした。写真をとっても楽しみにしています。
先日初めてWolfsburgに行ったので、図書館を少しばかり見学しました。あんまりゆっくりはできなかったのですが、廊下に立ったら、上から光が差し込んでいて感動しました。
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rbhh at 2006-02-08 07:21
>nyf1403さんもフリードリヒお好きですか!3カ月後がとっても楽しみです。エッセンで勉強してらしたんですね〜。おみやげに買ってみた、小さな揚げ菓子がとっても美味しかったです。エッセン名物なのかはわかりませんが、ハンブルクでは見たことのないお菓子でした。
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nyf1403 at 2006-02-09 16:59
rbhhさん、おはようございます。
はい、大好きです。オットにこのことを話しましたら、夏休みに絶対いこう、と決まりました。 EssenといってもはずれのEssen-Werdenですから、中心地にいったことは、なかったんですよ。
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Yozakura
at 2006-02-10 15:17
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Trust(rbhh.exblog) 様:初めまして
Yozakuraと申します。ハンガリー在住のバラード氏Blog"赤・白・緑ハンガリー"(ballade4fmoll)よりLink伝いに、漂着した者です。こちらで、C.D.Friedrichが話題となっておりますので、書き込み致します。暫し、お付き合い下されば幸いです。 今から凡そ30年前の1977年4月または5月の頃、東京竹橋にあります国立近代美術館にて、この画家の特集展覧会が開催され、私も確か2度、出かけました。現在は便利なことに、インターネット上にFriedrich専門の展示サイトが幾つかありますが、勿論当時は、そんな便利なものは無く、こうした特別展示会が、国内では唯一の鑑賞機会でした。 その展示会場に一歩立ち入った瞬間、私は、それまで長年に亙り、慣れ親しんできた「ドイツロマン派音楽の世界」を具現化・映像化した実体の存在が確認できたのです。彼が好んで描いた荒涼たる多様な冬景色と云い、或いは、人里離れた山中で、密かに月を眺め遣る二人の人物像などと云い、その代表作は何れも私の目には全て、シューベルトによるドイツ・リートの傑作を画像化したものに映りました。 2006/02/10(金曜日)Yozakura敬白(ここまで、前半部分)
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Yozakura
at 2006-02-10 15:31
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Trust様:続きです
勿論、これはアマチュアの思いつきであり、厳密な時代考証を経てはおりませんから、真偽の程は不明です。ただ直感(直観)的に、Friedrichの絵と、Schubert作曲のLiedに、不可分な共振作用ないし連動関係の存在を察知できたのです。 それは当日、会場の美術館内講堂(かなり広い会議室?)にて開催された、東山魁夷氏による講演を聴取しているうちに、確信となりました。東山氏は、当時既に著名な画家でしたが、若き日に、第二次世界大戦前のドイツに留学し、そこで写生など創作活動に励む一方、現地でその頃、話題を呼んでいた「Friedrichの絵を熱心に鑑賞した」(本人講演)のです。 そして東山氏は、その際、若き日の体験を回想されたのか、温厚な氏の語り口には珍しくも明瞭に、やや興奮気味に声音も高く、Friedrichの絵に体現されているロマン性に対する自身の共感を率直に述べていました。(更に続く)
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Yozakura
at 2006-02-10 15:56
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Trustさま:その3です
その竹橋展覧会の当時、入手したパンフレットかチラシが、ただ今手許になく、個別の具体的な絵画の名称を正確に指摘できないのが残念ですが、東山氏はその講演で確か、特定の絵画を指して、それを描いた際のFriedrichの心境や、そこに表現されたFriedrichの画風などに関して、自身の感想を幾つか陳述していました。その口調が、これがもうTrustさん、Friedrichの絵画に対する、その作風に対する賛辞そのものでした。 陳述内容の詳細までは記憶しておりませんが、Friedrichの絵画に寄せる東山氏の熱き共感の程は印象深く、しかと記憶しております。確か、冬の荒涼たる風景に寄せるFriedrichの浪漫的な心象が、巧みに描き込まれ謳い上げられた作品に係わるものでした。(字数過剰のため、さらに続く)
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Yozakura
at 2006-02-10 16:00
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Trust様:その4です
東山氏は東京美術学校の卒業生で、ドイツ語にも堪能であったと聞いております。絵画の現物を鑑賞・研究するだけでなく、それに纏わる種々の情報を入手し、それを基に当時のドイツ絵画や画壇の傾向なども分析研究できる余裕は備えていたものと、勝手ながら推測しておる次第です。 ご多忙のところ、ここまで読了して頂き、有難う御座いました。貴Blogの貴重なスペースを拝借しての書き込み、ご海容下されば幸いです。 ちょっと離れた町で、やがて開催されるFriedrich展覧会、楽しみですね。お時間があれば、展覧会の模様など御紹介下さい。お元気で。 2006/02/10(金曜日)Yozakura 敬白
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rbhh at 2006-02-12 02:09
>nyf1403さん、
夏休みが楽しみですね!私も3カ月後が今から本当に楽しみです。 ドイツ国外からの作品が多いといいなあ〜というのが個人的な希望ですが、どうなることやら…。
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rbhh at 2006-02-12 02:10
>Yozakura様、はじめまして。当ブログにお寄りくださいまして誠に有難うございます。ドイツロマン派音楽とフリードリヒの作品に関する貴重なるご意見拝読させていただきました。早速手元のCDを聴きながら、フリードリヒの世界に思いを馳せてみたいと思います。
東山魁夷の講演をお聞きになられたとは、非常に興味深い内容だったようでうらやましい限りです。氏はたしかドイツに留学してらしたんですよね?十数年前に東山魁夷展がベルリンで開催されたときに、見に行ったことを思い出しました。 東京で行われたフリードリヒ展では、ベルリンにある『Abtei im Eichwald(樫の森の僧院)』の前に人が殺到したとの小さな新聞記事を数年前に読んだ記憶があります。Yozakura様もご覧になったのでしょうね。とても好きな作品です。 多くの貴重な情報を頂戴しましたこと、改めてお礼申し上げます。 またお越しいただければ幸甚に存じます。
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Yozakura
at 2006-02-12 12:35
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Trustさま:返信拝見
Yozakuraです。迅速な御返信、どうも有難う御座います。 > 氏はたしかドイツに留学してらしたんですよね? 下記サイト《香川県立東山魁夷せとうち美術館》は、気軽に覗ける東山魁夷関連サイトの中でも、手頃なところです。地方自治体関連のサイトですから、それなりにセキュリティは保持されている筈でしょう、多分。 ご関心あれば、自己責任にて訪問なさってみて下さい。お元気で。 http://www.pref.kagawa.jp/higashiyama/higashiyama/index.html 2006/02/12(日曜日) Yozakura 敬白
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rbhh at 2006-02-13 05:38
>Yozakura様
早速、自己責任でご紹介いただきましたサイトを訪問して、東山魁夷の年譜を見て参りました。どうもありがとうございます。 ドイツ留学を中断せざるを得なかったのは辛かっただろうと、他人事ながら胸が痛みました。
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Yozakura
at 2006-02-13 16:38
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Trustさま:情報の訂正と追加です
Yozakuraです。御返信、有難う御座います。念の為、国立近代美術館のHP等を検索したところ、これまでに書き込みました情報に記憶違いがありましたので訂正しm(_ _)m、且つ、関連情報を追加します。 1) 上記展覧会の開催日時は、1978年02月11日(土曜日)から同年04月02日(日曜日)----凡そ1年のズレでした。 2) 上記東山氏講演会の開催日時は、1978年02月18日(土曜日)午後-----こちらは、凡そ1年2ヶ月のズレです。 3) 上記講演会の口述内容を東山氏本人が自ら編纂した随筆が、以下の書籍に収録されております。 《東山魁夷画文集第5巻・美の訪れ》新潮社、1979年02月25日発行 (字数過剰のため、後半部分に続きます)
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Yozakura
at 2006-02-13 17:18
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Trustさま:追加情報の後半部分です
以下は、何れも国立近代美術館が設置したHPの一部です。ご参考までに。 4) 上記展覧会《フリードリッヒとその周辺》の開催記念画集が発行されています。その案内サイトは、以下の通りです(同美術館HP内) http://libopac.momat.go.jp/cgi-bin/limedio/limewwwopac/av1?sessionLang=jpn;sessionCode=utf8;bibid=141804 5)同美術館発行の月刊誌《現代の眼:1978年02月号#279・1978年03月号#280》に記載された同展覧会特集記事の目次案内 http://www.momat.go.jp/art-library/cc/gendai300.html ご参考になれば幸いです。お元気で。02/13(月)Yozakura 敬白 (字数過剰のため、更に続く)
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Yozakura
at 2006-02-13 17:21
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Trustさま:追伸
御返信にあります以下の部分ですが、 > Friedrichの《樫の森の僧院》に人が殺到した----- と云う記事に関しては、記憶が無いため言及できません。 但し、Trustさんが言及されているこの絵画に関しては、東山魁夷氏が、上記講演口述随筆《フリードリッヒとの邂逅》に於いて、詳細に論評しております。この点では、Yozakuraの記憶と、それに基づく上記の記述は、間違いない模様です。 また「樫の---」ではなく、「木解または槲(かしわ)の---」が正確な表記のようです。上記随筆で東山氏は、「木解(木偏に解で一字)の森の僧院」と表記しています。ドイツ語原文による表記はどうなっているのでしょうか?ご存知でしたら、ご教示下されば幸いです。お元気で。
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rbhh at 2006-02-14 06:32
>Yozakura様
ご丁寧に情報の訂正いただき、またさらに多くの貴重な情報を頂戴しまして厚くお礼申し上げます。 のちほど近代美術館のサイトをゆっくり拝見させていただきます。 『Abtei im Eichwald』の日本語表記についてもご教示いただきまして有難うございます。Eicheは独和の辞書にはオーク(ブナ科ナラ属の木の総称)なる説明がありました。 近代美術館のサイトを見るのが楽しみです。重ね重ねお礼申し上げます。
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Yozakura
at 2006-02-14 12:34
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Trustさま:御返信拝見
Yozakuraです。ドイツ語表記の件、説明して頂き有難う御座います。 "--- Eichwald" なら、「オークの森」→「樫の森」となる訳ですね? 1930年代に現地へ留学滞在し、その後も何回かドイツを訪問した東山氏ご本人が、態々「樫」ではなく、「木解(かしわ)」と表記していたので、気になり、それでお尋ねした次第です。 また何か、発見がありましたら書き込みます。お元気で。 2006/02/14(火曜日) Yozakura 敬白
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rbhh at 2006-02-22 08:04
>Yozakura様
ご丁寧にありがとうございます。近代美術館のサイト見てみました。アートライブラリーなるものがあるなんてぜんぜん知りませんでした。 いつか近代美術館に行く機会があったら寄ってみたいと思います。
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Yozakura
at 2006-02-23 12:43
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Trust様:追加情報です
2006年2月12日(日曜日)付けの御返信にありました記述 「東京で行われたフリードリッヒ展では----『----(樫の森の僧院)』の前に人が殺到したとの小さな新聞時記事-----」 ですが、同展覧会主催の日本経済新聞1978年02月12日(日曜日)号には、以下の様な記事(朝刊、P.19)がありました。 > 「フリードリッヒとその周辺展」が2月11日午前、一般公開された。 > ----この日、ロマン主義の名画を一目見ようという人たちが同美術館 > を訪れ、午前十時の開館前に早くも約百人の行列が出来た。 > 「帆船の上で」「月を眺める二人の男」など異彩を放つ名作の前には > 人垣ができ、美術ファンは、"ロマンの香り"にすっかり酔い痴れた > 様子。初日に訪れた人は約二千五百人で中、高校生ら若い人の姿が > 目立った。 主催新聞記者のお気に入りは、上記の絵画2点で、これは、同年2月7日・8日・9日の3日間に亙り同新聞朝刊紙上に短期連載された《甦ったドイツ・ロマン派》と題する同紙ドイツ特派員執筆のコラム記事でも、上記2作の縮小写真が、フリードリッヒの代表作として紹介掲載されていました。(字数過剰のため、以下に続く)
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Yozakura
at 2006-02-23 13:59
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Trust様:続編です
上記の78年02月12日付け日経記事では、「帆船の上で」「月を眺める二人の男」が言及され、特集コラム記事でも、その2点を含む3点の縮小写真が掲載されていたのです。お気に入りの「樫の森の僧院」は、前述02/08付けコラムの文中にて、 > 「柏の森の僧院」と「海辺の僧侶」という二大傑作が生まれ---- と言及されているだけです。 ただ、この展覧会は当時大きな評判を呼んだ模様で、主催新聞の他にも、関連記事が掲載されており、Trustさんが「----読んだ記憶がある」のは、或いは他紙掲載の記事やも知れません。1978年3月20日付け毎日新聞(夕刊、P.5)には、同展覧会の背景が詳細に紹介されています。 > 「フリードリッヒとその周辺展」が----開催中である。東独のドレスデン > 美術館など19美術館、ソ連のエルミタージュ、プーシキン両美術館、 > チェコのプラハ美術館から25作家の127点が出品されている。 事実その侭の記述なのでしょうが、同展覧会が、当時の東側諸国を支配していたソ連政府の同意と協力を得て初めて開催できた国際政治状況が、明示されています。(字数過剰のため、以下に続く)
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Yozakura
at 2006-02-23 14:19
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Trust様:続編・2
亦この毎日夕刊記事は、興味深い文章で総括されています。 「フリードリッヒは、生涯に三百点ほどの油彩しか----1974年、ハンブルクとドレスデンで生誕二百年記念の大展覧会が開かれて評価を確定したが----かつてナチス時代に、その作風がゲルマン的精神を具現したものとしてもてはやされたために、戦後ずっと否定されてきたフリードリッヒが、正当に評価される時代になったことを示すものといえよう。」 つまりフリードリッヒの絵画に対する評価は、御本人の創作動機や芸術上の信念とは無関係に、周囲の社会的風潮や国際政治環境によりその都度、様々に有為転変してきた訳で、78年東京展覧会自体も、東西両独の相互承認や日本と東独の国交樹立を享けて漸く開催されたものでしょう。余談ですが、《ベルリンの秋》(春江一也・著、集英社、2001年3月)に、この展覧会開催に到る背景の全体像が、概略ながら分かり易く解説されています。御関心あれば、御一読を。 来る5月Folkwangにて開催予定の展覧会では、そうした政治的な経緯がどのように取り扱われるのか、扱われないのか、興味深いものがあります。お元気で。02/23(木)Yozakura 敬白
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Yozakura
at 2006-02-23 14:44
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Trust様:御返信、拝見
昨日・2006年2月22日午前8時付けの御返信、有難う御座います。追加情報は、上記の通り、全体を3回に分割送信しておきました。 > アートライブラリーなるものがあるなんて、ぜんぜん知りませんでした 自慢する訳ではありませんがTrustさん、斯く云う私も、今回ネット検索するまでは、国立近代美術館HPの内部に、こうしたサイトが存在するとは、全く知りませんでした。1)国立施設であるから同美術館側に広報宣伝意識が乏しい所為か、2)構造改革・財政再建のため文化関連予算が縮減されている所為か、3)日本全体で長期構造不況が続くため美術鑑賞など文化活動全般に対する社会的な関心が低下している所為か、或いは、4)それ以外の事由があるのか、それは皆目不明ですが、 折角の文化施設が十分に生かし切れていないのは残念です。お元気で。2006/02/23(漸く春めき始めた木曜日の午後に)Yozakura 敬白
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rbhh at 2006-02-24 06:41
>Yozakura様
また貴重な情報をありがとうございます。《ベルリンの秋》という本は機会があれば読みたいと思います。 新聞記事についてもご教示いただきありがたく存じます。私が読んだ記事は日本経済新聞に出ていましたが、1978年当時ではなく、正確な日付はわかりませんが、90年代後半以降です。
Commented
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Yozakura
at 2006-02-28 02:11
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rbhh様:御返信、拝見
Yozakuraです。2月24日付け御返信、拝見しました。確か《ベルリンの秋》自体には、フリ-ドリッヒの絵画は言及されてはおりませんが----春江氏のお気に入りは、フェルメールです----1970年代の東西両独とその周囲の政治環境が、比較的分かり易く叙述されていましたので、採り上げてみました。お元気で。2006/02/28(火曜日) Yozakura 敬白
Commented
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rbhh at 2006-02-28 06:39
>Yozakura様
フィルメールもいいですね。ドイツにはいくつもの作品があるので、実に幸運な環境にいると思います。 《ベルリンの秋》をますます早く読んでみたくなりました。
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