カテゴリ
タグ
Link
検索
以前の記事
2022年 08月 2022年 06月 2022年 01月 2021年 07月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 05月 2019年 10月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2015年 01月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 06月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 最新のコメント
|
2009年 12月 31日
ポスターが目に入った瞬間に観ることを決めた『Wendy and Lucy』がめちゃくちゃ良かった。
ミシェル・ウィリアムズが出てるのも観たくなった理由。監督はKelly Reichardt。 軽い気持ちで行ったら、こころの奥底までズシリと響いたので、帰り道は呆然として足取りが重かったし、翌日もこころはこの映画に占領されていた。。。 ミシェル・ウィリアムズが演じるウェンディは犬のルーシーと共に、オンボロの車(ホンダ)に寝泊まりしながら、仕事を求めてアラスカをめざしている。途中オレゴンで車が動かなくなる、ルーシーが行方不明になるという不運に見舞われる孤独なウェンディを演じるミシェル・ウィリアムズは10代の少女のように見えたけど、今調べたら29歳。賞の類いにほとんど興味はないが、なんとか女優賞など受賞する価値のある演技だと思った。 カメラの動きが美しかった。ウェンディの孤独や貧困を同情の目や哀れみを持ってではなく、慎ましやかな距離を保って捉えているところに監督の品性を強く感じた。ダルデンヌ兄弟にかなり近い作風。冒頭のシーンで予感した通り、警笛率が異常なくらい高かった。これまでに観た映画では恐らく一番警笛率が高かったはず。素晴しい。 ドイツ語がろくにわからなかった大昔にドイツ語吹替えで観たアニエス・ヴァルダの『冬の旅』を思い出した。あれはもう一回観たいと思うんだけど、あまりに壮絶過ぎて受け止める自信がないので、機会があってもあえて観ていない。 同じく青年がアラスカを目指すショーン・ペンの『Into the Wild』も良かったけど、控えめな分だけ『Wendy and Lucy』のほうがより好みだった。 観てからしばらくしてから思い出したのが、ポール・マザースキー Paul Mazurskyの名作『Harry and Tonto』 aka 『ハリーとトント』。こちらはおじいさんのハリーがトントという猫と旅するロードムービー。昔チューリップの財津和夫さんが、この映画の好きな場面についてラジオで語っていたことが何十年たっても忘れられない。 この映画の良いところはハリーが自立していること。独立している息子や娘に依存せず、トントとふたりで困難を乗り越えて行くハリーさんの姿が美しい。ハリーとポーランド系の友人の関係も良かった。観た後、なぜかしばらく忘れていた依存や共依存について考えたりした。私にとっては依存も共依存も死を意味する。 老人のロードムービーで思い出すのは、とても心優しい人のおかげで観ることができた『The Trip to Bountiful』 aka 『バウンティフルへの旅』。 これに登場するおばあさんは、息子と嫁と同居しているのだけれど、自分の故郷にどうしても戻りたくてこっそり家出してしまう。おばあさんの自立した行動力に感動したし、悪者のように描かれているお嫁さんが、実はぜんぜん悪い人間じゃないところが微笑ましかった。 やたら愛想はいいけど陰ではおばあさんをけなしているというタイプではなくて、してほしくないこと(そのひとつは賛美歌を歌うこと)をおばあさんにはっきり言うところが良い。嫁が姑にハッキリものを言うなんて、たぶん日本では許されない行為なのだろうけど・・。やたら愛想が良いけど、陰では何言ってるのかわからないような人間が私は大嫌いなのだ。 故郷でのおばあさんの姿は、アンドリュー・ワイエスの有名な作品『Christina's World』を意識しているのではないか? 故郷をめざすおばあさんといえば、大好きなこの映画もある。おばあさんが故郷に戻るために幼なじみのおじいさんと老人ホームを逃げ出すというロードムービー。 ということは、何十年後かに私は日本をめざしてユーラシア大陸横断の旅に出る可能性もあるのだろうか・・・。
by rbhh
| 2009-12-31 06:58
| 映画
|
Comments(6)
Commented
at 2010-01-01 20:34
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
rbhh at 2010-01-05 06:14
新年早々メッセージありがとうございます。こちらこそどうぞよろしくお願いします。
『バウンティフルへの旅』を思いがけず観られてとっても幸せです。おっしゃる通りです!どこで何をしていようが「人生とは旅」ですね。 思いつくままに書いてみましたが、どれも好きな作品なので、もしご覧になっていないものがあれば是非鑑賞いただいて感想を語り合えたら最高にうれしいです。 過去にとらわれず前だけを見てくださいね。好き勝手万歳!です。
Commented
by
yaliusat
at 2010-01-16 01:04
x
アニエス・ヴァルダの『冬の旅』って、ちょっと曰くいい難い映画ですね。あそこまで人に対して厳しい映画というのは稀有なのでは。
主人公の女性が、自分に比較的親切にしてくれたヒッピー的コミューンの人たちにも迷惑をかけてしまい、「出て行って欲しい」と言われるあたり、見てて「ウウッ」と。 「人間、ああいう最後もいいな」と昔は思ってました。今は……、やっぱり「あれもありかな」と思います。
Commented
by
rbhh at 2010-01-29 08:28
yaliusatさんへ。
やっぱりそうですよね、『冬の旅』の厳しさはハンパじゃないですよね。でも勇気を出してまた観てみようか・・という気もしいます。 すっかり忘れてましたが「出て行って欲しい」っていう場面ありましたね。わかります!苦しくて自分までつらくなってしまいました。 人生の終わりがああいうのは私はつらいです、yaliusatさん良いと思うんですか。凄い。「おくりびと」方式よりはずっといいとは思いますが。。。
Commented
by
yaliusat
at 2010-03-06 01:28
x
rbhh さんの文章を読んで、とても楽しみにしていた“Wendy and Lucy”(ぼくが信頼しているアメリカの映画評論家ロジャー・エバートもこの作品には三ツ星半をつけてました。満点は四ツ星)。
なのに日本では劇場公開されず、いきなり有料映画チャンネルのシネフィル・イマジカで放映されることになりました。大ショックです。 ただ、偶然にもこのチャンネルに加入している人が近くにいたので、DVDは無理ですが、VHSに録画してもらえることとなりました。仕方ない。これで我慢します。 しかし、これではDVDでの発売も怪しい感じです。誰か劇場公開に向けての署名運動をやってくれないかな、と思っています。自分でやろうかしら?
Commented
by
rbhh at 2010-03-10 07:58
yaliusatさんへ。
公開されないんですか!!ひどい!でも録画をご覧になれるなんて、yaliusatさんは幸運な星のもとに生まれているんですね。 お伝えしたことなかったと思いますが、ロジャー・エバートを知ることができたのはyaliusatさんのおかげです。でも面倒なので評論はぜんぜん読みませんが・・・。 日本だと署名が集まったら上映する映画館があるんですか?面白いですね。yaliusatさん是非署名運動するべきです。それくらいの価値がある作品です!
|
ファン申請 |
||