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1 2007年 11月 26日
先月と今月この街で1.5番目に好きな映画館で侯孝賢特集を組んでいた。
未見の作品が一気に観られる!と期待に胸を膨らませていたが、未見作品は見事にプログラムに入っていなかったのでがっかり。ま、これも日頃の行ないが悪い証拠だな・・と思って猛反省した。 侯孝賢ファンが駆けつけてさぞかし盛況だろうと思っていたが、私が行ったときは毎回観客が20人未満で寂しかった。そんなに人気ないのかな、ドイツでは・・。 観ながら寝てしまうリスクが倍増するので、基本的に夜9時過ぎの上映には行かないが、今回ひとつを除いてすべて9時半開始だったのできつかった。ふぅ・・。以下、仕事で疲れた身体に気合いを入れて観た順に。 ■『憂鬱な楽園』(1996年) 南國再見、南國/Goodbye South, Goodbye 昔テレビ放送で観たときとまったく同じシーンに感動した。電車の最後部から見える風景のダイナミックな動きや、高捷 Jack Kaoと林強 Lim Giongがバイクに乗ってるシーンが最高に好き。林強は頭が異常に絶壁なので親近感を覚える。 撮影は李屏賓 Li Ping-Bin!この動きがたまりません。映画館の椅子に身を任せてこのシーンと音楽に浸っているうちに、このまま映画館の子になってしまいたい・・と思った。 ![]() ■『ミレニアム・マンボ』(2001年) 千禧曼波/Millennium Mambo 何年か前に同じくテレビ放送で観たのだが、大部分を忘れていた・・。覚えていたのはこのシーンだけだった。たまらなく好き。iPodにサウンドトラックが入っているので、林強によるこの音楽をしょっちゅう聴いている。 北海道の夕張や新宿が出てくるのはすっかり忘れていた。李屏賓が撮影。夜の室内での舒淇 Qi Shuが特に美しかった。彼女の舌足らずの日本語もラブリー。 ![]() ■『好男好女』(1995年) Good Men,Good Women かつて日本に行ったときに、渋谷西武近くの映画館で観た。思い出や過去を描いた80年代の静謐な作風とはガラリと変わって現代を濃厚に描いた作品だったので驚いた。現在と過去が交錯する話にイマイチ付いて行けなかったのは今回も同じだった。情けない・・。途中、小津安二郎の『晩春』が画面に現れた。原節子の笑顔がまぶしかった。 侯孝賢作品の常連だった高捷がかっこいい。ああいう男のなかの男って感じの人は今の日本に不在なのでは? ■『悲情城市』(1989年) A City of Sadness その昔、生まれて初めて劇場で観た侯孝賢の作品だった。改めて重厚な内容に感動したが、あの音楽にぜんぜん付いて行けなかった。仰々し過ぎてダメだった。初めて観たときはものすごく感動したのに・・。大事な場面をあえて(?)遠くから離れて撮ってるところが良い。撮影は李屏賓。 この映画の上映に先立ち映画館の職員が現れて、上映時間が長いので(157分)途中で休憩を入れるかどうかを多数決にしますとおっしゃる。あの日は確か10数人観客がいて、休憩賛成に挙手したのはわずか2人。ということで私を含む休憩反対派の勝利だった。 ■『恋恋風塵』(1987年) 戀戀風塵/Dust in The Wind 生まれて初めて観た侯孝賢の作品がこれだった。今も昔もこれが一番好き。屋外映画の上映シーンが良かった。そしてあのラスト。映画の素晴らしさが凝縮されている。撮影は李屏賓。被写体を遠くから撮ってるところに同じく参った。 ![]() ■『童年往事』(1985年) A Time to Live, A Time to Die これはたしか監督の自伝的なお話だったはず。何回も名前を繰り返し呼びながら孫を探して歩くあのおばあちゃんが良い。ひとつの家族の喜びと悲しみを、大袈裟ではなく丁寧に淡々と描く作風にすっかり心を奪われたのは今回も同じ。撮影は李屏賓。ところどころで使われている青、水色が美しかった。 ■『冬冬の夏休み』(1984年) 冬冬的假期/A Summer at Grandpas これ大好き。冬冬の妹と精神障害の女性との心の交わりに特に惹かれる。ビクトル・エリセの名作『ミツバチのささやき』のアナと逃亡兵を思い出した。偶然なのか意図しているのか不明だが、この作品でもところどころで使われている水色が美しかった。 k-fkさんのブログで、冬冬のお父さんは楊德昌だったこと、最後の曲が『赤とんぼ』だったことを知った。あのやさしい笑顔はもう見られないんだと思ったら、最後のシーンが悲しくてたまらなかった。 以上、ほとんどの作品は李屏賓の撮影。彼が撮影した作品では他には『小城之春』、『最好的時光』、『咖啡時光』、『一個陌生女子的來信』が素晴らしかった。今年DVDで観て大好きになった『珈琲時光』も今回の特集で上映してしてほしかったのにぃ・・(涙)。 これまで特定のカメラマンに入れ込んだことはないが、李屏賓は唯一の例外。彼の息づかいが聞こえてくるようなカメラワークにすっかり心を奪われた。初恋です・・。 ▲
by rbhh
| 2007-11-26 00:09
| 映画
2007年 11月 21日
先日ベルリンで聴いた『大地の歌』についてウィーンの少年に報告メールを出したところ、早速返事が来た。ヘップナーは歳をとって最近は声が出なくなったようだとのこと。トリスタンとイゾルデの3幕では声がまったく聞こえなかったそうだ。携帯電話はウィーンでも鳴ってるそうで、ムーティがウィーンフィルを振ったときに楽章の間におばあさんの携帯が鳴り出し、止め方を知らないのか鳴りっぱなしだったのでムーティは客席に向かって電話に出ろ!と英語で叫んだそうだ。
18日(日)は長年の夢がかなってブラームスの『ドイツ・レクイエム』を歌った。前日17日(土)は本番前、最初で最後のオーケストラとの練習。終わった後は「明日でこの曲とお別れなのか・・・」と思ったら悲しくてしばらく立ち上がれなかった。 会場となる教会の中は冷えてる可能性があるので、当日は全身にホカロンを貼付けようかどうしようかとさんざん迷ったあげく、ポイント攻撃でお腹と腰と足と肩に絞り込んだ。歌ってる途中にトイレに行きたくなったら悪夢・・・というおびえがあるので、とにかく全身温めておきたいのだ。 個人的にはレクイエム1曲だけで十分だと思うけど、オマケにメンデルスゾーンの詩篇から『Hör mein Bitten』も歌った。10分弱の短い曲。これまでの短い合唱歴で歌った曲は練習を重ねるうちにすべて好きになったけど、この曲だけは例外だった。最後の最後まで違和感があった。舞台に立ってる資格ぜんぜんないよな・・と思いながら歌ったくらい。美しい曲なのだけれど、私にはお涙頂戴の安っぽい映画の挿入歌にしか聞こえなかった。すみません、メンデルスゾーン様。 肝心の『ドイツ・レクイエム』のほうは、前日のリハーサルで涙が出て来て危ない箇所がよーくわかったので、感情に流されないように、気持ちを引き締めて、歯をくいしばってるつもりで挑んだ。 第五曲はソプラノのソロがメインで合唱が静かに呼応する。合唱メンバーはそこだけ座ったまま歌うことになっており、第四曲が終わったところで指揮者が指示を出したら全員座る予定だった。・・にもかかわらず第四曲が終わると、指揮者は汗をぬぐうやいなや、第五曲目を振り始めた!・・というわけで70分近い演奏時間中ずっと立ちっ放し。多数いる足腰の弱っているおじいさん、おばあさんは相当きつかったと思う。 合唱やオーケストラも何ヵ所かテンポが早くなったり、出だしのミスがあったりと小さなチョンボはあったけど、個人的には出せるものを出し切って大満足!歌い終わって壮快な気分に浸ったと同時に、こんなに素晴らしい曲を作り上げてくれたヨハネス・ブラームスに対して感謝の気持ちでいっぱいになった。 友人シューマンの死(1856年)が作曲の動機だったらしいが、なかなか完成せず、母親の死(1865年)がきっかけになって本気で完成に向けて取り組んだそう。よくぞ書き上げてくださいましたと感謝状を100通くらい送りたい気分。 終わった後はがっくり来て亡霊状態に陥ってしまうのではないかと心配だったが、今回は大丈夫だった。2週間後に『メサイア』の本番が控えてるから、すぐに気持ちを切り替えて集中しなくてはという意識が強いからだと思う。演奏は録音したそうなので早くCDを聴きたくてたまらない! この演奏は、ドイツに来て以来ずっとお世話になり続けた、そして今年2月に永眠したマルオに捧げた。 ![]() ▲
by rbhh
| 2007-11-21 08:00
| 音楽
2007年 11月 17日
![]() 本番まであと2週間。考えただけでドキドキ。期待と喜びで胸が破裂しそうだ。 14日(水)はピノック&ヨーロピアン・ブランデンバーグ・アンサンブル Europan Brandenburg Ensemble によるJ.S.バッハのブランデンブルク協奏曲全曲を聴いた。ピノックの60歳の誕生日を記念して結成されたアンサンブルだそう。 古楽器による演奏を初めて生で聴いてめちゃくちゃ感動した。ホルンやトランペット等、管楽器ってあんな形してたのね・・。思わず身を乗り出して見てしまった。演奏は番号順ではなく、1番、5番、3番、休憩、4番、6番、2番の順だった。なぜでしょう? どれも好きなんだけど、どれかひとつ選ぶなら6番が一番良かった。最後の2番ではトランペットの高音がところどころ上がり切っていなかったのでアレレ???だった。後で音楽通に聞いたら、管楽器はボタン(?)がないから音程を取るのがムズカシイそう。さすが音楽通はなんでもご存知だなぁと感心した。 素晴らしい演奏に感動したので早速ピノックのCDを注文した。 この演奏会があることを教えてくれた分身の姿を見かけなかったので翌日電話してみたら、その日職場で思いっきり不愉快なことがあったので演奏会には行かずにうちで掃除していたそうだ。 今日は今シーズン初のNDR。ブロムシュテット指揮でニールセンの交響曲第3番とメンデルスゾーンの交響曲第3番スコットランドを聴いた。当日券を買おうと並んでいたら、親切な人が切符をタダでくれた。これまでの人生で二回目の出来事。ありがたいことだ。 プログラムを見ていたらニールセンのほうにバリトンとソプラノ歌手の名前が出ていたので、急遽行くことにしたのだが、舞台に歌手が現れないので、出番まで楽屋に隠れてるのかな・・なんて思っていたら、バリトンは右奥、ソプラノは左奥にいた(模様)。第2楽章の途中でふたりが立ち上がって歌い始めたのだ。歌詞はなし。歌手も楽器扱いというのは初めてで面白かった。 ブロムシュテットの指揮は初めてだった。苦手。 来月はドホナーニ指揮でブルックナーの交響曲第8番。楽しみ! ▲
by rbhh
| 2007-11-17 07:39
| 音楽
2007年 11月 12日
11月3日(土)はラトル指揮ベルリンフィルの演奏でマーラーの『大地の歌』を聴いた。テノールはベン・ヘップナー、バリトンはトーマス・クワストフ。
生演奏で聴くのは生まれて初めてなのでとーっても楽しみにしていた。クワストフが素晴らしかったのと、オーボエとフルートのソロに特に感動した。オーボエソロの人の名前は残念ながら知らないのですが、フルートはもちろんパユ様!涙が出そうになるくらい素晴らしい演奏だった。カーテンコールで現れたラトルが、真っ先にオーボエソロとパユ様の席まで上がって行って労ったのは当然でしょう。恥ずかしながら、この演奏で初めてオーボエの素晴らしさを認識した。 終曲はまさに天国だった。チェレスタの響きに我を失った。茫然としてしまって、曲が終わっても拍手ができなかった。情けないけど、あまりに感動すると拍手をする気力がまったく残らないのだ。本当に情けない。こういう時、コンパクトな拍手代行器があったらいいのになと思う。亡霊状態の私の代わりに盛大に拍手してくれる器具。 驚いたことがあった。3曲目が始まって間もなくトライアングルが鳴った途端に、ラトルは演奏を止めて最初からやり直したのだ!携帯電話が鳴ったから。こんなこと初めてだったのでびっくり。しかも、たしか6曲目の真ん中のあたりでフルートソロに聴き惚れていた時にも電話の音が文字通り「り〜ん、り〜ん」と数小節にわたって鳴り続けていた!!ぜんぜん止まらないので、ラトル独特のアレンジなのか?!と思ったほど。 あまりに衝撃的な出来事だったので、翌日になってもなぜ??と考えてしまい、あれは携帯電話によるテロ行為だったのではないかとBBに問いかけたところ「きっと鞄の底に携帯電話が入っていて、取り出すのに時間がかかってすぐに止められなかったに違いない」との見解。そんなこと想像もしていなかったので、さすがBBは洞察力が鋭いなぁと感心した。 終演後は、昨年サッカーのワールドカップ開催中に従兄弟と一緒に行った、ポツダム広場駅のすぐそばにあるピザとパスタがおいしい店で遅い夕食。いつものことながら、店の名前は横文字なので覚えられなかった・・。 『大地の歌』の初演は1911年11月20日、ブルーノ・ワルター指揮ミュンヘンフィルによる演奏。李白・銭起・孟浩然・王維による詩はハンス・ベートゲ Hans Bethge(1876-1946)が翻訳。また聴く機会があれば詩の意味をきちんと理解しておきたい。 この作品は第9番にあたる交響曲として作曲されたが、第9が《死》につながることを避けて交響曲とはしなかったということを教えてくれた人が昔いた。 ▲
by rbhh
| 2007-11-12 09:14
| 音楽
2007年 11月 08日
一昨日は『メサイア』の練習日。練習場所が町はずれにあるので、30分も地下鉄に乗らなくてはならない。車内では楽譜を広げてiPodで曲を聴きながら頭の中で最後の追い込み練習。恥ずかしながら途中口パクもやってたはず・・。
翌日、分身に電話したらいきなり「昨日はゴメン」と言われるので「???」。偶然ホームから車内にいる私を見かけたので合図を送りたかったが「rbがあまりに集中して楽譜に見入っていたので声をかけられなかった」そう。死ぬほど恥ずかしい。無防備な練習姿を見られていたなんて。今後はサングラスをかけるなどして、身元不明状態で練習したほうが無難かもしれない。 昨日は『ドイツ・レクイエム』の練習。ブラームスは本当に難しい。練習後、何年も前に『メサイア』(ドイツ語)を歌ったUちゃんと話していたら、 歌っていると腕から足から全身が高揚感でいっぱいにならないか?と聞かれて驚いた!Uちゃんも私とまったく同じ体験してたのね。『メサイア』のパワーって凄いんだなあと改めて感動した。 3日(土)は『メサイア』の集中練習。この期に及んで英語のtheの発音を矯正された。ドイツ語にも舌を歯の間に入れる発音はないので、日本人同様にドイツ人でも文字通り《ザ》と発音する人がいるのだ。せっかく指導を受けたにもかかわらず、その後もしっかり《ザ》のままのおばあさんが数人いた。あれは耳障りなのでやめてほしい。 ヘンデルが1741年に作った『メサイア』は初期の近代英語で書かれている(と手元の本に書かれている)。現代とは異なる古風な英語。私が戸惑ったのは過去形の発音。たとえばturnedとcalledはターンドとコールドではなく、ターネドとコーレッドと発音するのが正しいそう。 ただ発音が正しければいいわけではなく、歌声が明瞭に美しく聞こえることが最も重要なので、たとえばlordの母音は高音(Gのあたり)を歌うソプラノは《オー》ではなく《アー》と発音するよう指導を受けた。ロードではなくラードに近い発音。忘れないように、楽譜にカタカナの《ア》を大きくたくさん書き込んだ。とにかく高い音域の母音は《アー》で乗り切れとのこと。うまく行くといいのだが・・。 この日の晩はベルリンフィルの演奏会。1ヵ月ほど前に幸運にも切符を手に入れて喜んでいたのも束の間、『メサイア』の練習と重なっていることに気づいて愕然としたアホな私。練習は6時まで。開演はいつもは8時なのにこの日に限って7時から。練習が終わってから出発したんじゃ絶対に間に合わない!どっちを取ろうか1日考えたあげく編み出した苦肉の策は、練習を途中で抜け出して、演奏会は前プロを諦めるというもの。なかなかの妙案だと我ながら感心した。 というわけで、前プロ抜きでラトル指揮ベルリンフィルによるマーラーの『大地の歌』を聴いた。ソロはベン・ヘップナーとトーマス・クワストフ。クワストフについてはnyf1403さんの記事がとっても参考になります! ヘップナーは一度聴いてみたいと思っていたので楽しみにしていたのだが、ご本人の体調が悪かったのか、席が悪かったのか(後者の可能性あり)、ちょっとがっかり。クワストフは期待通りに素晴らしかったのだが。 『大地の歌』の感想も書くつもりだったが、気力と体力が限界なので省略(とりあえず・・・)。 ![]() ▲
by rbhh
| 2007-11-08 08:39
| 音楽
2007年 11月 03日
![]() 初めて観たときに受けた、彼女がいきなり現れる出だしの衝撃は何回観ても同じ。たったひとりの同志である委員長も、一周忌を忘れずにいてくれたはず・・ですよね? ここ何日か少しでも心にスキあらば、思い出してえんえんと考え続けてしまう映画があるので記録しておく。 ![]() 蔡明亮監督作品でおなじみの李康生が初めて監督した作品。蔡明亮が監督だと思って観ていたら、実は李康生が監督だったとわかって驚いた。昔、委員長がこの映画のことを話していたようなかすかな記憶があるけど、すっかり忘れていた。 中心になるのはおばあちゃんと孫、おじいちゃんと孫。おばあちゃんは迷子になった孫を探して街をさまよう。おじちゃんの孫は中学生くらい。学校に行かずゲームセンターに入り浸っている。この関係もない二組の家族が、知らず知らずのうちに夜の台北で一時関わり合う。あの最後のシーンがとにかく素晴らしかった。最近発見して大ファンになったブログの持ち主が「小説も映画も、考えたり背景を想像したりする楽しさがある」とおっしゃっていたが、この映画のラストを観ていて、しみじみその通りだよなぁと思った。あっと驚くようなことが起きるわけじゃなく、ただ静かに時が過ぎて行く穏やかなシーンなんだけど、いろいろなことを考えた。 李康生のインタビュー You Tube 李康生のインタビュー 文章 ![]() 古い映画館「福和大戯院」のある一日を描いた蔡明亮の作品。監督の映画館に対する、そして映画に対する限りない愛情が最初から最後まであふれている。蔡明亮の作品はほとんど好きだけど(一部例外あり)、この作品が間違いなく一番好きになった。 私も映画が好きなだけでなく、映画館という空間に対して深い愛情を覚えるので、この映画の主役とも言える古めかしくてやたら大きい福和大戯院を見ていて胸が締め付けられそうだった。 観終わってからインタビューを発見して、この映画の背景を知った。 そのうえで再度観たらますますこの映画が好きになった。もともと蔡明亮と李康生と2人で2本組の映画を撮ることにしていたものの、蔡明亮の作品が長くなったので別々にしたそうだ。(タランティーノとロドリゲスの『グラインドハウス』を思い出す・・。)二回目に観て『The Missing』とリンクしている部分を発見!ああ、そうだったのかぁ・・とうれしくなった。 上映中の映画の出演者が観客のふたりだということもわかったら、上映後にふたりが出会ってわずかな言葉を交わした後に黙って立ち尽くしている姿を遠くからとらえたショットに涙が止まらなかった。あの間がいいのです・・。 そして切符売り場の女(陳湘琪 Chen Shiang-Chyi)と映写技師(李康生)のふたりが素晴らしいこと!セリフはまったくなく、ふたりはひと言もしゃべらない。インタビューを読んだらなぜ女がびっこをひいているのかがわかって、監督の人間性あふれるやさしさを感じた。彼女の足を引きずる音の美しい響きに、呼吸が止まりそうだった。そして最初から最後まで降り続ける雨の音が美しいこと!寂しくもあるけれど・・。あの骨の折れた傘に心を鷲掴みされた・・。 ある物がこの女と男を結び付けているところも良かった。あの小さな物体で、ふたりの微妙な感情を表してしまう監督は天才としか言いようがない!最初のほうで監督の頭が出演しているような気がしてならないのだが、どうなんだろう・・?監督に会う機会があったら絶対に聞いてみたいです。あれはあなたの頭なのですか?と。 観客役のひとりは日本人で三田村恭伸という人。初めて見た。白虎隊以外のハマリ役はないだろうなって感じ。エンドクレジットでは山田村恭伸になってた。おそらく前者が正しはず。どうでもいいことだけど、殿方の排尿時間ってあんなにも長いのか・・?!と疑問に思った。 この映画を観た人が目の前にいたら、この映画についてえんえんと語り続けてしまいそう・・。それはそれは素晴らしい作品なのだ。夜寝る間を惜しんでも観続けていたいくらい。今もさまざまなシーンが目に浮かびます。 昨晩観た大好きな映画にしても、この2本にしても役者は笑顔を見せない。いつもむっつり顔だ。なんで笑顔のない無愛想な映画にこんなにも惹かれるのか・・と考えているうちに、自分が血の通っていない人間だからか、あるいは通っているとしても冷血だからじゃないかという気がしてきた。悲しむべき恐ろしい事実だが、ありのままに受け止めるしかない。 ![]() ▲
by rbhh
| 2007-11-03 08:05
| 映画
2007年 11月 01日
『メサイア』の演奏会まであと1ヵ月。楽しみな反面、あと1ヵ月でこの曲とお別れかと思うと寂しくてたまらなくなる。
一昨日は練習からの帰り道に考えてしまった。体内から湧き上がる歓喜で体が破裂して死んだ人なんて過去に存在したのだろうか・・・と。 毎回のことだが、この曲を歌っていると、体の芯から湧き上がってくる歓喜が、言葉ではとても表せないようなものすごいスピードで頭のてっぺんからつま先まで駆け抜けて、全身が歓喜の固まりになってしまうので、体が張り裂けてしまうのではないかと怖くなるくらいなのだ。 かつて、長年の夢だったJ.S.バッハの『ロ短調ミサ曲』や『ヨハネ受難曲』などを歌ったときも、全身幸福感で満たされたが、体が破裂するんではないかという危機感を覚えたことは一度もなかった。いったいこれは何なんだ?!バッハとヘンデルの違いなんだろうか・・? これじゃ本番で2時間半も歌ったら、過度の歓喜にやられて即死する可能性があるので、今のうちに遺書を書いておくという案が浮かんだ。でも遺書を書くなんて野暮すぎる。野暮なことするくらいだったら死んだほうがましなので、やっぱり書くのはやめた。 ・・・なんてアホなことを考えている場合ではなかった。週末にものすごい作品を観てしまったのだ。蔡明亮と李康生の作品を2本まとめて。あんなに素晴らしい作品がこの世に存在するとはまったく知らなかった。 二人の作品を観ていかに感動したか、感動しているかを書くつもりだったが、まったく気力が残っていないのでやめた。またそのうち・・。 追:}明日はドイツの一部の州は祝日で休み。北ドイツは平日なので、平常通り仕事。ムカつく。 ![]() ▲
by rbhh
| 2007-11-01 07:16
| 音楽
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